大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)347 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人及び補助参加人代理人弁護士高畠春二の上告理由について。

原判決は、被上告人B両名の先代Dは上告人に対し本件土地を賃貸していたが、

右賃貸借はそもそも右Dから訴外Eに対し普通建物所有の目的で賃貸したに始まり、

その始期は大正九年一二月二五日頃であつたこと、さればその存続期間は大正一〇

年五月一五日施行の借地法一七条の規定に従い既に経過した期間を算入して二〇年

であり、従つて右賃貸借は昭和一五年一二月二五日頃には期間満了となり消滅すべ

き筋合のものであつたこと、そして、上告人と右Dとの間には上告人が右賃借権を

他に譲渡または転貸したとの理由で紛争があり、右Dから上告人に対し昭和一三年

三月一二日右賃貸借契約解除の通知がなされており、上告人の本件土地の継続使用

に対し異議あることが明らかにされていたから、右賃貸借は法定更新されることな

く右期間の満了により消滅したものと解すべきである旨判断しているものであるこ

とは判文上明らかである。

思うに右のように賃貸期間の満了に先き立つこと二年余りも前に右判示のような

理由に基く賃貸借契約解除の通知があつたからといつて、賃貸借の法定更新を阻む

異議の申述があつたものと解すべきでないことは所論のとおりである。しかし、上

告人の確認を求める賃貸借は原判決の認定したようなものではなく、その訴旨によ

つて明かなように上告人と被上告人との間に昭和四年一〇月三一日を始期とし借地

法二条及び戦時罹災土地物件令竝びに罹災都市借地借家臨時処理法により昭和三六

年五月五日迄に存続すべきものであるというのであるから原判決は所論法定更新(

この点は第一、二審において上告人から何ら主張されていない)の点はともあれ、

- 1 -

土台、上告人主張の賃貸借を認めず、その趣旨において上告人の請求を排斥したも

のと解するを相当とする。さすれば所論の点は原判決主文に何ら影響がない筋合で

あるから、所論は結局理由なきに帰するものと云わざるを得ない。それ故所論は採

用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!